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新たなる試みの実験 (2005年11月1日)



第39回自由組手全国大会は「軽量級クラス」「中量級クラス」「重量級クラス」「無差別級クラス」を設けて「第1位〜第4位」まで設けてみた。
中位戦、上位戦は無差別級的に戦いを組むが、各クラスのリーグ戦、AB選抜戦、CD選抜戦、総合選抜戦は「ポイント方式」で勝者を選ぶ。

今までの全国大会は基本的に無差別級として試合を組み、日本一を決めてきたが、他の格闘技などをみても多くは階級性を設けているのが通例になっている。今まで無門会空手がそうした全国大会で階級性を設けなかったのは「全国大会は受即攻技の完成を目的とする、受即攻が完成すれば大型、小型は関係ない」というのが基本の考え方であった。小さな選手が大きい選手を相手に「勝ち負けを気にせず」受即攻する実験を行い、相手が攻撃できないようにする、そうした「受即攻の極意を得る」というのが目的であった。


無 差 別 級 は 大 型 選 手 が 有 利
1990年代には身長170p前後の「攻撃技、複雑な受け技、受即攻技、カウンター技」のバランスの取れた金城力也や研究生が全国大会の優勝を競う実力があったせいもあり無差別級の試合はそのまま続けていた。やはり毎日のように稽古をしていたので練習量が多かったというのも強かった要因であろう。

しかし2000年代にはいると、小型、中型選手でベスト4に入れるような研究生以上の実力を身につけたのは古川恭司五段とわずかな170p前後の有段者のみである。昨年は光島道郎三段がベスト8に選ばれ、三つ巴戦では真田宇一朗三段が選ばれたが、しかし160p前後、170p前後の選手がベスト4に入れるチャンスは非常に難しいことが証明されつつある。受即攻技の完成には予想以上に年数がかかるようである。


多 く の 選 手 に チ ャ ン ス を !
2000年代はリセットの時代でもある。今までの試合形式ではなかなかチャンスの無かった小型、中型選手に全国大会で「優勝」を味わってもらうのも無門会の発展につながると考え、新しい制度を設けることにした。
しかし今までの無差別級的な試合を否定することは出来ないので、中位戦は完全な無差別級的な組み合わせ、上位戦では無差別級と階級性を両面を設けて各階級のベスト4を選ぶ戦いとしたい。


各 ブ ロ ッ ク で 優 勝 戦

中央で各優勝戦を観たい気持ちがあるが今までの試合の経過をみると中位戦、上位戦で時間をとられ、上位戦の後にA〜D各ブロックで階級性の優勝戦を行う形をとりたい。これも今後の課題である。ベスト4は審判が選ぶが、実力が伯仲するのが5人であればポイント方式で4人を選ぶ。人数が多くなったら最初から階級性の全国大会を行うことも考えたい。


無 差 別 級 は 階 級 性 の リ ー グ 戦 の 後 す べ て ポ イ ン ト 方 式 で
今までであると審判が総合力でABコート,CDコートの上位二人を選んで総合選抜戦に4人を選んだが、近年フランス人のルノー・マーシャルのような「勝ち負けを現象的に判断」する外人が出場するようになったので「明白な勝敗」をする必要があると考えるようになった。

総合選抜戦でも勝敗が明白でないとさらに「三つ巴戦」の形になってポイント方式で「ベスト1」を決めることが多くなり、時間延長になる場合が多い。選手に最高の試合をさせるためのものでもあるが、試合の公正さ、時間短縮をかねてポイント方式で試合を行いたい。

受 即 攻 の 実 験 は従来通り、勝ち負けの無い「中位戦」が最大の選手の技の実験場である。新人、有級者、有段者、高段者、外国人、小型選手、中型選手、大型選手、10代、20代、30代、40代、50代…様々な選手が多目的に自分の技術を試すことができる。

この段階の試合がなくなれば、受即攻技術は養成されないだろう。上位戦も重要である。
中位戦で磨かれた「攻撃技、複雑な受け技、受即攻技、カウンター技」の技術をさらに思う存分試すことができる。
勝ち負け無しの試合の非常に優れた点である。しかしポイント勝敗制度も検討の余地がある。


審 判 は 2 重 構 造 の 判 断
ポイント方式の試合は選手の勝敗がかかっているので経験が必要である。基本的に3年以上の経験あること、判断が付かないときは独善に判定するのではなく、必ず副審、ビデオ判定で決める必要がある。

ベテランでも独善判定することなく疑問を投げかけられたときは副審、ビデオ判定をしなくてはならない。空手の突きの動きは人間の肉眼の判断力より速く、肉眼で見えない瞬間があることが証明されている。安全性のために素面でなく、スーパーセーフ(最近はKプロヘッドガードが主流)を付けているのでダメージが分からない、素面で有ったらこれくらいの「有効性がある」という審判の「2重構造」に判断力が決定的な決定権をもっているので無門会空手の審判はフルコンタクト空手や一般の格闘技より高度な眼が必要なのである。


出 場 し な い 有 段 者
最近全国大会に出場しない有段者もいる。多くの事情があることは分かるが、自分を厳しい命懸けの修行の場である全国大会の戦いを避けるということは、技術の弱さだけでなく、心の弱さも一因のような気がする。人間の一生は一回きり、1年1年が非常に大切である。奮起を促すためにも、PHP研究所からいただいた松下幸之助の「日々の言葉」というのを紹介しよう。

松下幸之助の言葉 無門会的言葉で考えてみると

1、最初の一歩は願うこと …受即攻の完成を願う
2、熱意は人を動かす …受即攻完成の熱意は人を動かす
3、追いかける仕事は面白い …受即攻の完成を追いかける
4、信念は不可能を可能にする …受即攻は完成させる!信念を持つ
5、批評、批判はあとでよい …まずは実践からやってみよう
6、“日に新た”に一歩先を行く …技の新しい発見で人より先に進む
7、使命観が熱意を生み出す …完成思想、達成思想が熱意を生む
8、熱意は知識や才能に勝る …受即攻完成への道は熱意が一番
9、なくてはならない競争相手 …競争相手は必ず必要
10、祈る思いで事を為す …謙虚になり、心で祈る
11、創造のヒントは現場にあり …新しい発見は極限の戦いの中にある
12、成功を信じたものが成功する …完成を信じたものが完成する
13、懸命の上にも懸命に …命懸けの上にさらに命懸け
14、うるさがれるくらい相談する …分からない時は徹底的に聞きたいもの
15、地道が一番の近道 …日々の地味な稽古が一番
16、チャンスは随所にある …勝機は随所にある
17、自然に体が動けば一人前 …無意識に受即攻できれば完成、一人前
18、言葉にも行いにも真心こめる …すべてに心を込める
19、やるべきことに没頭する …試練に没頭する
20、本当に無理か不可能か …軽量級は無差別級で優勝出来ないのか
21、心の弱さに打ち克つ …誰でもある弱さを克服するべし
22、もらう以上に与える …受即攻思想は己を高め相手を高める
23、誠意を持って言うべきことは言う …過ちは誰でもある。誠意ある言葉で
24、苦情や叱責は好機となる …批判される時が自分を伸ばす機会
25、心から訴えてこそ伝わる …心ある評価、忠告は必要
26、明日では遅い、いますぐ実行 …受即攻は毎日が真剣勝負
27、体験すべてが成長の糧 …厳しい経験、試合は自分を成長させる
28、夢あるかぎり若さは失われない …受即攻完成を目指す人は常に若い
29、常識抜ければ新たな道 …受即攻完成は世間では常識外れ、
30、うまくいかなければ自己反省 …未完成期は失敗の連続自己反省ばかり
31、本気で打ち込めば必ず実る …受即攻、本気で向かえば必ず実る

2005年版 日々の言葉 松下幸之助 熱 意より
松 下 幸 之 助

瀧沢賢次七段の知り合いから紹介され「2005年トップが語る、仕事の指針、心の座標軸」という本に一文をのせたことがある。
その関係で色々な資料をPHP研究所から送ってくれたのが上記の文章で、良い言葉なので道場に月変わりでひとつひとつ紹介している。今月は「13、懸命の上にも懸命に」という文を紹介している。松下幸之助という人物はすでに亡くなっているが、世界に誇る大企業を築いた大人物である。世界や日本に売れるような製品を作り出すということは並たいていなことではないと思う。次から次に開発される新製品、開発の研究員から工場の社員まで発展的な志向が無いと「大松下」であろうと経営の危機になってしまうであろう。松下幸之助の「熱意」をみるとそうした企業人の精神が満ちあふれている。

受 即 攻 思 想
私の受即攻思想は、無門会の会員には人生を賭けた課題を与えられたと思う。両親でも兄弟でも、会社の上司でもこの厳しい課題を与えることはできないだろう。

松下幸之助の言葉は、空手の受即攻完成思想と相似している。「基本が極意」という無門会空手の言葉は、「地道が一番の近道」と似ている。日ごろの稽古の中に、日々鍛える中に極意を生み出す元があるのである。


受 即 攻 の 猛 者 達 の 戦 い
第38回自由組手全国大会はすばらしい試合が多かった。ルノー・マーシャルも2回目の全国大会参加。私はマーシャルに「日本人が油断すれば今後君が優勝する可能性がある」
といった。第38回全国大会はマーシャル対日本人有段者との激突!といったテーマであった。それゆえに参加したトップクラスの有段者はB,Cコートから遠慮なく出した。今回送ったDVDを参考にしてもらえばその戦い方は研究出来ると思う。
「遠間合い」を制するのは「中間間合い」という結論である。
今年はさらにもう一人の「GUILLanme PINGUET」(182p、82s)が参戦する。真田英生六段、伊藤秀敏五段、小原正弘五段、下澤 猛五段といった五段クラスには絶対に良い試合をしてもらいたいし、勝つ試合をしてもらいたいものである。

勝敗は時の運ではあるが、中間間合いをいかに制し、近間合いでいかに料理するかという研究は技の幅を広げる絶好のチャンスである。
昨年の大会では江口慶貞六段の左手の中段構え、カウンター的中段回し蹴り、下段回し蹴りをつかんで投げ飛ばし、下段蹴りを極めるといった作戦は非常に良かった。また小原正弘五段のカウンター的下段回し蹴り、蹴りをつかみ投げ飛ばす作戦も良かった。水谷正人三段の「逆三角形受け即上段逆突き」も良かった。

猫足立ち系統や後足立ち系統の受け身的立ち方は、近間合いで戦う「キックボクサー」「ムエタイ」には良いが中間間合いを制することができないので苦戦しやすいのである。
有段者の健闘を祈りたい。

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